マーケティング
新規事業のマーケティング、最初の90日でやること
- 公開日
- 更新日
- 著者
- BUSCA編集部
- 監修
- 代表 戸井田 翔馬
この記事の結論
- 新規事業の最初の90日でやるべきことは、売上を取りにいくことではなく、誰に何を売るかを検証できる状態をつくることです。
- 30日で狙いと指標を決め、60日で最小限の受け皿と初期の接点をつくり、90日で続ける施策とやめる施策を判断します。
- 最初に決めるのは施策ではなく、判断の基準です。KPIと実行ロードマップを1枚に固定すると、途中の判断が止まりません。
最初の90日の目的は、売上ではなく検証できる状態
結論から言うと、新規事業の最初の90日でやるべきことは、売上を取りにいくことではなく、誰に何を売るかを検証できる状態をつくることです。
立ち上げ期は、何をやっても「やった感」は出ます。サイトを作る、広告を出す、展示会に出る。しかし3か月後に残るのが「反応はいまひとつだった」という印象だけでは、次の判断ができません。
必要なのは、次に何を変えるべきかが分かる状態です。そのために、最初に決めるのは施策ではなく判断の基準になります。
0〜30日:狙いと指標を決める
結論から言うと、この30日で決めるのは、誰に売るかと、何をもって前進とするかの2つです。
やることは3つに絞れます。
- 狙いを決める:業種・企業規模・担当者の役割で対象を絞る(STP分析の手順が使えます)
- 言うことを決める:競合が同じ文を書けない1文に落とす
- 指標を決める:問い合わせ数だけでなく、商談化率と、想定した層から来ている比率まで
あわせて、誰が判断するかも決めてください。立ち上げ期は関係者が多く、意見も割れます。決裁者と、日々の判断を任される担当者の2人がはっきりしていないと、30日のうち半分が調整に消えます。
ここで時間をかけすぎないでください。30日で完璧な結論は出ません。出すのは「これを確かめる」という仮説であって、正解ではありません。
30〜60日:受け皿と接点を最小限でつくる
結論から言うと、完成を待たず、反応が測れる最小の形で公開します。
最小限とは、次が揃っている状態です。
- 誰に向けた何なのかが分かる構成:事業の説明より、相手の状況から始める
- 問い合わせの受け皿:フォームと、その後の対応フロー
- 計測:どの経路から来て、どこで離脱したかが分かる設定
接点の選び方は、狙いで決まります。すでに検索されている課題なら検索から、まだ言葉になっていない課題なら、セミナーや個別の紹介から入るほうが反応を得やすくなります。立ち上げ期に広く薄く出すのは避けてください。どの経路が効いたのか分からなくなり、検証そのものが成立しません。
情報は、反応を見てから足すほうが迷いません。立ち上げ期に多い失敗は、社内の合意を取りながらサイトを作り込み、公開が2か月遅れることです。その2か月は、何も学べない期間になります。
60〜90日:続けるものとやめるものを決める
結論から言うと、この30日は、施策を増やす期間ではなく絞る期間です。
見るのは3点です。
- 想定した層から来ているか(来ていないなら、狙いか言葉のどちらかがずれている)
- 来た人が商談になっているか(ならないなら、期待と中身が合っていない)
- 同じ質問が繰り返し出ていないか(出ているなら、サイトで答えるべき論点)
この時期は、社内から「もっと広告を出そう」「別の媒体も試そう」という声が増えます。増やすのは、いま出している施策の良し悪しが説明できるようになってからです。説明できないまま増やすと、変数が増えて原因が特定できなくなります。
ここでやめる判断を1つ以上出してください。全部続けるという結論は、判断を先送りしただけです。母数が小さく判断できないなら、「あと30日は続けて、この数字で判断する」と期限を決めます。
最初に固定するのは、判断の基準
結論から言うと、KPIと実行ロードマップを1枚にまとめ、判断のたびにそこへ戻ります。
BUSCAが大手IT企業のAI関連新規事業を支援したときは、戦略策定からサイト構築・リリースまでを1.5ヶ月で完了しました。速さの理由は作業量ではありません。全体戦略とKPI・実行ロードマップを先に設計し、途中の判断をそこへ戻して決められる状態をつくったことにあります(支援事例)。
立ち上げ期は、意見が割れたときに止まります。基準が1枚にあると、議論が「どちらが好きか」ではなく「どちらが基準に合うか」に変わります。
90日では終わらないことを、先に共有しておく
結論から言うと、90日で出るのは結論ではなく、判断材料です。
BUSCAの支援も3か月を1単位にしていますが、それは3か月で成果が確定するからではありません。最初の1か月で計測と狙いを固め、残りで施策を回して判断材料をそろえる、という区切りだからです。
社内の期待値も、ここに合わせておく必要があります。「90日で黒字化」ではなく「90日で、何に投資すべきかを説明できる状態になる」と合意しておくと、途中で方針がぶれません。
90日目に用意しておくもの
結論から言うと、次の3つが言える状態なら、この90日は成功です。
- 効いている経路:どこから来た人が商談になっているか
- やめた施策とその理由:なぜやめたかを数字で説明できるか
- 次に確かめること:次の90日で検証する仮説が1つに絞れているか
逆に、施策の数だけ増えて、どれが効いているか説明できない状態なら、まだ検証できる状態になっていません。その場合は増やすのをやめ、計測と狙いの見直しに戻ってください。遠回りに見えますが、ここを飛ばすと以降のすべての判断が勘に戻ります。
よくある質問
- 90日で売上目標を置くべきですか。
- 置いても構いませんが、判断材料にはしにくい数字です。立ち上げ期は母数が小さく、受注の有無が運に左右されます。商談化率や、想定した層からの問い合わせ比率など、検証の進み具合が分かる指標を併せて置いてください。
- サイトは完成してから公開すべきですか。
- 公開を遅らせないほうが学べます。必要なのは、誰に向けた何なのかが伝わる構成と、問い合わせの受け皿、そして計測です。情報を足すのは反応を見てからのほうが、迷いが減ります。
- 社内に専任がいない場合はどう進めますか。
- 判断する人を1人決め、作業は外に出す形が現実的です。BUSCAの支援でも、戦略策定からサイト制作・集客までを引き受けつつ、支援終了後に社内メンバーだけで運用が回る状態を目標に置いています。