マーケティング
USP分析とは?自社の強みの見つけ方を、3つの手順で整理する
- 公開日
- 更新日
- 著者
- BUSCA編集部
- 監修
- 代表 戸井田 翔馬
この記事の結論
- USP分析とは、自社だけが言えて、狙う顧客が価値を感じることを1つに絞り込む作業です。
- 強みは社内で考えても出てきません。事実の棚卸し、競合との重なりの確認、顧客にとっての価値の検証、の順で外から確かめます。
- STPで狙う相手を決めてからUSPを言語化してください。相手が決まっていない強みは、必ず抽象的な言葉になります。
USP分析とは、自社だけが言えて、顧客が価値を感じる1つを決めること
結論から言うと、USP分析とは、自社だけが言えて、狙う顧客が価値を感じることを1つに絞り込む作業です。USPは Unique Selling Proposition の略で、直訳すれば「独自の売りの提案」になります。
条件は3つあり、同時に満たすものだけがUSPです。
- 事実として言えるか:実績や体制に裏づけがあるか
- 競合が言っていないか:同じ文言が他社サイトに並んでいないか
- 顧客が価値を感じるか:その違いで選ぶ理由になるか
社内で「強み」として挙がる項目の多くは、1つ目しか満たしていません。丁寧な対応、豊富な実績、高い技術力。どれも事実かもしれませんが、競合も同じことを書いています。
STPのあとにやる理由
結論から言うと、狙う相手が決まっていない強みは、必ず抽象的な言葉になるからです。
「スピード」が価値になるかどうかは、相手によって変わります。稟議に時間のかかる大企業より、意思決定の速い事業部や立ち上げ期の会社のほうが、速さを評価します。つまりUSPは、相手を決めて初めて判断できます。
だからBUSCAでは、市場を分けて狙いを決めるSTP分析を先に行い、そのうえでUSPを言語化します。順番を逆にすると、誰にでも当てはまる言葉を選んでしまい、結局どの商談でも響きません。
手順①:事実の棚卸しをする
結論から言うと、先に候補を広く出します。絞るのは次の工程です。
集めるのは、意見ではなく事実です。
- 受注した案件で、顧客が決め手として口にした言葉
- 他社から乗り換えてもらったときの理由
- 自社の体制で、他社と明らかに違う部分(人数、職種の組み合わせ、対応範囲)
- 実際にかかった期間や、再現できている進め方
ここで「たぶんこれが強み」という推測を混ぜないでください。検証できるのは事実だけです。推測は、このあとの工程で確かめる仮説として別に書き出します。
手順②:競合が同じことを言っていないか確かめる
結論から言うと、競合3〜5社のサイトを開き、同じ言葉があるかを機械的に見ます。
比べるのはサービス内容ではなく、使っている言葉です。トップページの見出し、サービス紹介の冒頭、会社概要の説明文。ここに同じ表現が並んでいるなら、その項目はUSPになりません。顧客から見れば区別がつかないからです。
ここで候補の大半が消えます。それで構いません。残った項目が少ないほど、次の工程は楽になります。なお、競合を否定する必要はありません。違いを見つける作業であって、優劣をつける作業ではないからです。
手順③:顧客にとっての価値を確かめる
結論から言うと、残った候補を、顧客に直接ぶつけて確かめます。
社内で議論しても結論は出ません。既存顧客との打ち合わせの最後に、2つだけ聞いてみてください。
- 発注を決めたとき、他に比べた会社はありましたか
- 最後に決め手になったのは何でしたか
答えが候補と一致すれば、USPとして使えます。一致しないなら、顧客は別のところを見ています。自分たちが強みだと思っていた項目と、選ばれた理由が違うことは珍しくありません。この食い違いを見つけることが、この工程の目的です。
言葉にするときの基準
結論から言うと、競合が同じ文を書けないか、という1点で判断します。
書けてしまうなら、まだ具体性が足りません。基準は3つです。
- 具体的か:「豊富な実績」ではなく、何をどこまでやったかが分かるか
- 検証できるか:聞かれたときに、事例や数字で裏づけを出せるか
- 1文で言えるか:サイトの見出しや、商談の最初の30秒で言い切れる長さか
たとえば「経験豊富なチームが、お客様に寄り添って支援します」は、どの会社でも書けます。これを「マーケターとデザイナーとエンジニアが同じチームに入り、戦略から実装まで引き取ります」と書き換えると、体制の違いが伝わり、裏づけも出せる文になります。抽象的な形容詞を、事実の描写に置き換えるのが基本の直し方です。
伝える場面では必ず1つに絞ってください。3つ並べると、読み手の記憶には何も残りません。社内の整理としては複数持っておき、先頭に置くものを1つ決める、という使い分けにします。
BUSCAが支援で使っている順番
結論から言うと、環境整備 → STP分析 → USP分析の順で進めます。
BUSCAのマーケティング/デザイン支援では、まず解析・計測ツールを整えて数字が見える状態をつくり、市場を分けて狙いを決め、最後に自社固有の強みと競合との差分を洗い出して訴求へ反映します。
英国発のAIベンチャーが日本市場へ進出した際の支援でも、ターゲット顧客の特定と、競合優位性を明確化するためのポジショニング戦略から着手しました。そのうえで、日本のビジネス習慣や顧客の関心に合わせて訴求内容と言語表現をローカライズしています(支援事例)。
USPは一度決めて終わりではありません。競合が同じ言葉を使い始めたら、その時点でUSPではなくなります。四半期ごとに競合サイトを見直す程度の頻度で、十分に気づけます。
よくある質問
- USPと「強み」や「差別化ポイント」は違うものですか。
- 重なりますが、USPは条件が厳しくなります。自社が言えること、競合が言っていないこと、狙う顧客が価値を感じること、この3つを同時に満たすものだけがUSPです。社内で強みとして挙がる項目の多くは、1つ目しか満たしていません。
- 特別な技術も実績もない場合、USPは作れますか。
- 技術以外にも候補はあります。対応の速さ、担当者の体制、支援の範囲、進め方そのものが差になることは珍しくありません。重要なのは珍しさではなく、狙う顧客がそこに価値を感じるかどうかです。事実として言えることの中から探してください。
- USPは1つに絞らないといけませんか。
- 伝える場面では1つに絞ってください。3つ並べると、読み手にはどれも印象に残りません。社内の整理として複数持っておき、サイトや資料の先頭に置くものを1つ決める、という使い分けが現実的です。